物語のラスト、少年の表情が秀逸!!!!『にんじん』
題名 にんじん
原題 Poil de Carotte
製作国 フランス
製作年 1932
監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ
あらすじ…
1894年にフランスで出版されたジュール・ルナールの小説「にんじん」が原作の映画。三兄妹の末っ子のフランソワは、「にんじん」というあだ名で呼ばれ虐げられる毎日。母親は、兄と姉ばかりを可愛がりフランソワには冷酷な態度と、虐めのような雑用を押し付ける。父親は、家庭のことには無関心。そんな、フランソワの日常を描いた作品。
ネタバレを含む感想…
まず注目して欲しいのが、製作されたのが1932年だということ!!世界初の実写映画といわれている、リュミエール兄弟の「工場の出口」が公開されたのが1895年。映画史が始まってたった37年で、ここまでの素晴らしい少年映画が作られていたという事実がすごい!さらに映画といっても最初は映像だけの無声映画だったので、世界初の長編発声映画とされる「ジャズ・シンガー」が公開された1927年から考えると、そこからわずか5年!
もう発声映画のなかでは、
世界初の少年映画
なのでは?!?!
そんな映画「にんじん」ですが、顔だけを映すクロースアップが多用されているなど、映画表現としては現代では違和感を感じる部分はあれど、少年の描き方は大満足!!
ストーリーをなんとなく知っていたので両親に虐められる、鬱々とした可哀想な少年が描かれるのかな、と思いきや、予想に反して、フランソワは元気で明るくて仕草や行動の可愛らしい少年!!!なんだか、子供の元気な部分だけを抜き出しました!!と、いう少年。
無邪気な笑顔がすっごく可愛い!!!!
また、マチルドというフランソワよりもっと幼い少女、彼女と少年の関係がとてもいい…。マチルドはまだ幼くて、フランソワの置かれている状況をまったく理解できない。フランソワに「早く結婚しよう」と言うマチルドの無邪気さ。そんなマチルドの相手をちゃんとしてあげるフランソワは、本当にいい子…!!!
そしてそんな少年のみせる、子供ながらの反抗心、そして物語終盤、自殺を決意する少年の悲しさ。首を吊ろうと縄の前にたった少年の顔のクロースアップが、本当に素晴らしい!!!今から死のうとする少年の表情…それまでの元気な少年からのギャップがすごい……!!!少年好きとしては、あの表情だけは絶対見て欲しい…一番のオススメシーン。